兵庫医科大学 薬学部「未来ファーマシスト奨学金」

今回は兵庫医科大学の「未来ファーマシスト奨学金」についてです。
「6年間の学費が最大550万円も安くなる!」 「専願で受けられるなら、ダメ元でも受けさせたい」
チラシのインパクトが強いため、このように考えるご家庭も多いのではないでしょうか。 私立薬学部の6年間の学費は約1,160万円。それが約半額になるなら、確かに魅力的です。
しかし、「美味しい話には必ず条件とリスクがある」のが大学受験です。 今回は、この制度の仕組みと、知っておかないと後悔する落とし穴をプロの目線で分かりやすく解説します。
1. そもそも「未来ファーマシスト奨学金」とは?
兵庫医科大学薬学部の「学校推薦型選抜(公募推薦・指定校など)」で、成績上位者に支給される返済不要の給付型奨学金です。 大学側が「学力の高い現役生を早い時期に確保したい」という目的で設けている特待生制度のようなものです。
- 支給額:6年間で350万円(初年度100万円/2〜6年目は年50万円)
- 選考方法:推薦入試の得点順(全体の得点率50%以上が必須)
- 枠の数:専願前期15名、専願後期3名、併願A〜C日程計38名 など
2. チラシに書いてある「最大550万円」のからくり
チラシには「最大550万円」「学費が610万円に!」と大きく書かれていますが、これにはちょっとした裏があります。
- 未来ファーマシスト奨学金:350万円(入試成績上位者)
- + 在学生支援奨学金:最大100万円(※2年次以降、各学年成績トップ5名以内のみ)
- + 病院奨学金:最大100万円(※卒業後、兵庫医科大学病院に薬剤師として4年間勤務すれば返済免除)
つまり、550万円の満額減額を達成するには、「入試上位で受かり、入学後もトップクラスを維持し、卒業後は附属病院で4年間働く」必要があります。 入試の段階で現実的に目指せるのは、基本となる「350万円の枠」だと考えておきましょう。
3. 【超重要】受験前に必ず知っておくべき2つの落とし穴
ここが一番お伝えしたいポイントです。「ダメ元で受けよう」と安易に出願すると、大きなリスクを背負うことになります。
落とし穴①:「専願合格=奨学金決定」ではない 一番多い勘違いが「学校の先生から専願の許可が出たから、受かれば奨学金がもらえる」という思い込みです。 奨学金が出るのは、あくまで合格者の中の成績上位(専願前期なら上位15名)だけです。 専願は合格したら原則として辞退ができません。つまり、「合格はしたけれど奨学金はもらえなかった場合でも、満額の学費(約1,160万円)を払って進学する覚悟」がないと出願してはいけません。
落とし穴②:不合格だった場合、一般入試の「数学」が手遅れになる 推薦入試(専願)の科目は主に「英語・化学」などです。 ここに全振りして11月中旬〜12月まで対策を続け、もし不合格になった場合、一般入試で必要となる「数学」の対策が完全にストップしてしまいます。 秋以降に数か月数学を放置した状態から、年明けの一般入試に切り替えるのは至難の業です。一般入試まで見据えた学習バランスが崩れるリスクを必ず計算に入れておく必要があります。
まとめ:受けるべき人と慎重になるべき人
- 受けても良いご家庭
- もし奨学金が取れず、満額の学費になっても進学させる資金計画がある
- すでに英語・化学の基礎が固まっており、推薦入試で上位を狙える学力がある
- 慎重になるべきご家庭
- 「奨学金が出ないなら進学は厳しい」と考えている
- 英語や化学に不安があり、一般入試(数学含む)の対策もまだ途上である
魅力的な奨学金制度ですが、実態は「学力上位層によるハイレベルな枠の奪い合い」です。
奨学金のメリットだけを見ずに「一般入試まで見据えたリスク」と「ご家庭の進学基準」をしっかりすり合わせた上で、戦略的に受験校を決めていきましょう。当塾でも、科目バランスや志望校選びの面談を随時受け付けています。




















